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作品内容
「最初から知っていた。おまえが王女ではないことくらい」――皇帝は初めから知っていた上で、婚姻を撤回しない。
辺境の小国で、王女付きの補佐役として静かに生きてきた男爵令嬢セレス。
控えめで目立たない彼女に突然下されたのは、病に倒れた王女の身代わりとして、敵対寸前の大帝国へ嫁げという命だった。
相手は“氷の皇帝”カイゼル。
情け容赦なく政敵を切り捨てる、冷酷無比な若き支配者だという。
王女ではないと見抜かれた瞬間、命はない。
そう覚悟して帝国へ向かったセレスだったが、初夜の前、皇帝は静かに告げる。
――最初から、おまえが王女ではないことは知っていた。
すべてが終わったと思ったのに、婚姻は撤回されなかった。
むしろセレスには、最高級の衣装、妃教育、侍女、居室、警護が与えられる。
けれどその優遇は、甘やかしでは終わらない。外出は許可制。
手紙は検閲。実家への支援は帝国を通してのみ。
彼女の毎日も居場所も未来も、気づけば皇帝の掌の内に整えられていた。
守るためだ、と彼は言う。
二度と誰にも政略の道具として差し出させないためだ、と。
やがてセレスは知る。皇帝カイゼルがこの偽装婚を受け入れたのは、戦を避けるためだけではないことを。
彼は幼い頃から、王女ではなく“セレス個人”を見ていたことを。
男爵家の片隅で、誰にも選ばれず、誰にも守られなかった彼女を、ただ一人見つけていたのだと。
偽りの花嫁として始まった結婚は、閉じ込めるような独占と、逃がさないほどの執着を経て、やがて本物の信頼へ変わっていく。
これは、身代わりとして差し出された令嬢が、帝国でただ一人望まれる妃になるまでの物語。
文字数 約28000字
ファイル形式: PDF
表紙は生成AIで作成しております。


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