この作者様の良きところは「表情」ですね。
場面場面で色々なトロ顔や細やかな感情が見て取れて、
本当にキャラが生き生きと感じられる。
画面を眺めているだけで美しいと思える作画力、
エロ漫画では必須の裸が、しっかり画面の華として見ごたえがあって
安心して読めて、満足感も高い。
そして、この物語はあまりに切ない。
肉体関係だけ見れば、純愛、恋人同士とも思えるラブラブな描写だが
背景の話の流れから
主人公エセルと悪魔アリスターとの間には
互いの心の関係を阻害する壁がある。
2人で愛し合っている最中や直後に、
アリスターはスッと冷めた表情をするが
それは、最中のエセルの言葉は全て自分が無理やり言わせているだけの
嘘だと思っている為だろう。
エセル自身の真実の心が欲しいと本心では願っているアリスターが
しかし本意でないにしろ自分が言わせた
エセルからの「だいすき」という言葉に、
思わず本心を吐露してしまうシーンは本当に切ない。
このシーンは、どちらかというとエセルの描写が主軸で
アレスターの表情は描かれず、セリフでの感情表現をされていましたが、
ここで彼の表情が描かれたのなら、
どれほど悩ましく苦しげな表情をしていただろうかと想像して、私まで胸が苦しくなってしまいました。
しかしこの作者様の描く表情は、本当に心に刺さるものがあります。
なので、個人的にはもっと二人のお顔が見たいですね。
そしてラスト103pの一コマで、
エセルとはもう会えないとなったときに初めて、
素面のエセルに、アレスターが自ら本当の思いを伝えるシーン…
何度見てもここは涙が出てしまいます。
これだけの作品を完成させるのには
大変な労力がかかりますから、作者様には本当にご自愛いただき、
でもいつか、また二人が、
今度はお互いの真の心を見つめながら愛し合う姿を見たいと、切に願ってやまないです。
(でも違うルートになっても、私は作者様が描く2人が大好きなので、
なんでも…がんばります。)