『――ひとりには、ならない』
家中にあって孤独な令嬢ラニア。
執着を向ける義弟フィンとの歪な関係を続ける彼女の胸には、幼き日に出会った少年の言葉が灯り続けている。
侯爵である父の追悼のため、久しぶりに外界に出たラニア。
暴漢に襲われた彼女を救ったのは、クレインという青年だった。
暗殺の懸念から、いっとき伯母の館へと留め置かれたラニアに、護衛に抜擢されたクレインが寄り添うこととなる。
やさしい人々のもとで心を休め、芽生えた徒花の初恋をあたためるラニア。
やがて自邸へと帰還した彼女を待っていたのは、倒錯した行為と、残酷な真実だった――。