奈良ラーメンは白菜入りさんのレビュー一覧

高校三年生になって彼氏・彼女になった由紀と早秋(二人とも早く生まれたのでほぼ一年)。楽しい日々は続いたがそんな彼らにも進路選択は迫ってきた。二人とも進学で、昨今の大学全入の風潮とは無縁に受験する二人(早秋は推薦入試、由紀は一般入試)。この入試が物語の流れでの大きな山になっている。そしてもう一つの山があるのだが・・・勿体ぶってここでは書かない。
若干シリアスではある。早秋は「18歳までに彼女ができなかったら由紀と付き合う」と決めていたが、実は最初から由紀しか見ていなかったようだ。それはそれでいいのだけど、もっと早く動いてもよかったのに(苦笑)。
それと由紀に耳かきをしてもらう早秋、もっと感想はないのかね。

シリーズものの登場人物が高校生の頃のお話。10代の頃から彼らはゆるくて淡々としていた。たとえデートやコトを致そうとするときでも、雨が降るだけで中止にするくらい・・・若いんだからもっとガツガツしてりゃいいのに(笑)。
二人が付き合いだしたのは高三からだがそれ以前は友達同士だった。その最初に会ったエピソードが気に入った。由紀ちゃんは昔から小さいことにこだわらない性分だったのか、夏休みが削られるのが嫌だったのか・・・
100頁程度あるので読みごたえもまあまあある。

表情の変化に乏しい大学生カップルの日常。この巻では彼氏の早秋の一面が分かる。
年頃の男性なので性欲はあるのだが、彼女に「今は生理中」と告げられると大人しく引っ込む。初体験は彼にとってあまり良いものではなかったが彼女に楽しんでもらえたらしいのでまあそれでもいいかと笑ったり。意外といい彼氏なのだな・・・
あと一応料理も作れる(普段は由紀が作っているようだ)。もっとも、突拍子もない料理は作らないみたいだが・・・

大学生で既に同棲生活をしている、それでいて表情の変化に乏しいカップルの日常をテーマにした(超)短編漫画。夜彼女のほうが騒動を起こしたり(まあ彼氏にとってはよかったのかな?)妹がやってきたり意外と彼女は几帳面(そして男の子はぐうたら)なことがわかったりと読んでなかなか楽しい。
特に印象に残ったのは二人で夜に近所を散歩した際の回。評者だったら・・・週刊誌を立ち読みだけして帰る一方買い食いは一切しないので二人はまだマシなお客さんと言えなくもないかな(笑)。

2020年頃の世相を反映した、あまたある電子書籍出版への招待。それも作家側の。「どうすれば電子書籍を売りに出せるか」の方法本なので、巷で商業出版がやっているような「こうすれば電子書籍で稼げる!」みたいな内容ではないのであしからず(それは自分で見つけてね、ということか)。
有名企業系・Web及び実店舗同人系・その他各サービスに企業非公認(だと思う)のかわいいキャラクターがいるのだがその由来についても説明している。大体は見てわかるのだけど。Dlsiteは確か公式キャラがいたはずだが、あまり似てはいない(笑)。
あれから時間が過ぎてコロナウィルスは下火になったらしいが、オンライン販売自体はこれからも成長が続くだろうから自分で漫画なり小説なりを描いている人は読んでおくといいだろう。(この漫画の想定読者層とは異なるが)”出版社の自費出版”よりはまともだと見られるし。上手くいけば印税も得られそうだし・・・

どこにでもありそうな平凡な書店の日常を舞台にした漫画。お洒落なセレクトショップ系個性派書店ではなくチェーン店のような没個性の本屋だし、出版不況やそれに伴う街の本屋の減少について語っているわけでもない。あくまでも平凡な本屋の日常を淡々と描いている。
手描き(或いは手描き風)の線の細い絵だが描き込みはかなり多いところが特徴か。
シリーズものなので第一回は登場人物の紹介・・・のようなもの。登場人物の成長・・・は多分テーマにならないだろうからゆるいキャラクターと関係を楽しむことになるのだろう。ナオのような人物は漫画などなら嫌いではないけれど。
今作は書籍・漫画単行本などについている帯がアイテムとして出てくる。決してみんながあれを肯定的に見ていたわけではないんだなと知ってホッとしている(笑)。栞の代わりに使っていたのは評者だけかもしれないが(苦笑)。

前巻で気になった点が幾つかあった。その一つは構成が原作と異なっていたこと。主要登場人物である潘金蓮がどのようにして武大郎というつまらない男の嫁になったのかがなかった。やや不満があったがそれがこの巻で描かれる。自分を捨てた母についての苦い悲しい思い出。想いを無駄にしてしまった後悔。彼女のあのすれきった金蓮にもこんな時代があったのか・・・あまり人物像形成に影響していない点を除けば好きなエピソードかもしれない(苦笑)。
登場する6人の妻(金蓮はその一人である)はみんな一筋縄では行かない女性で、しかも全員陰湿。家庭内で繰り広げられる毒々しい騒動は昼のメロドラマのような感覚で楽しむことができる。原作同様四大奇書のなかではもっとも物語のスケールが小さく大人物も出てこないので、読み手によっては評価が別れるかも。

コンビニの雑誌・書籍コーナーでよく見るちょっと目つきの悪い、そして妙に額の狭い(笑)美女。多分一度くらいは見たことがあるはず。実はレディース・コミックの人気作で「真に」一流の中国古典小説(長編)「金瓶梅」の翻案漫画だった。原作は読んでいるのだがこっちは未読。いい機会だったので購読した。
しつこいが「翻案漫画」なので原作に忠実ではない(ところによる)。主要登場人物の一人である潘金蓮に主にスポットを当てているからか、展開・テンポが速い。レディースコミックだからといってしまえばそれまでだが裸が多い(原作でのSEX描写は実は割とあっさりしている)。あと金蓮、北宋の頃の人にしてはおっぱい大きい(笑)。
全体に殺伐とした物語なのだが最後に入っている小話ではギャップゆえか少し心地よい。
ただし、読む人を選ぶだろう。中国の大ヒーローである武松については違和感が凄い・・・私的には原作やわたなべまさこ氏(巨匠!)の作品とも読み比べて欲しい。

ガイノイド(女性型ロボット)・マチコをテーマとした短編作品集。1999年、2006年、そして2009年に描かれた漫画が収録されている。といっても作品はすべて独立しているが、登場人物は共通だった。同じ役者陣で異なるコントをやるようなものか?特筆すべきは収録作中最新の「10年目のマチコ」だろう。
粗筋は開発中のマチコの一号機が交通事故に遭った後行方知れずになり、再起動した場所で「生きる」ためにありあわせの材料でなんとか頑張っていく。自分の居場所が出来つつあった頃に外の世界に出てみたら・・・
過去作と比較したところ、絵が洗練されたのか見易くなった。アナログとデジタルの違いなのかも知れない。コマが1頁に6以上ある細かいところは変わっていなかったが。
作品テーマが「メイドロボ」から「ロボット」へとシフトしている。詳細には語らないがマチコ一号機はどんどん異形になっていくのだが「置かれた環境で生き残るため」なので必要に応じているため違和感などは少ない。このあたりのユニークさがこの作家さんの魅力だろう。作品世界は2020年だが、現実世界も資源ゴミの分別を真剣にやってない?ロボットはあまり街中で見ないけど・・・
最後の2頁だが、あれらのシーンは高所から俯瞰してる図が正しい・・・ハズ(笑)。
この作品のさらに続編があるのだが、できれば「10年目」から読んでほしい。気がつくことが色々あるから!

同棲中の大学生カップルを主役にした作品。まだ20歳前にもかかわらず今イチ元気も覇気もないところが気になるが・・・その二人が映画を見に行こうとしたり(毎月頭の千円の日、でもなかった)、SNSでいたずらをした結果●●●になったり、たまに実家の妹に会いに行ったりetcの日常の些細な出来事をテーマに短い話が並んでいる。
私的に気に入ったのは彼女が地味で代わり映えのしない格好をいつもしている理由。服装に関しては作画担当者が描き易いからだと思ってたが、そうじゃなかったのか(失礼!)。彼女がそれなりに自分の意見を持っていて、それを理路整然と語っているのはいい感じだ。