シュプリーム3巻は、今回は徹底的にジャズを描いた巻になっています。
ハンナとの再会を経て、彼女と組んで練習を重ね、そしてついに(音楽業界人の集められた)初ライブの舞台へ――。
シュプリームの車輪がいよいよ回転を始め、さらなる出会いへと物語は突き進んでクローズしています。
今更な話ですが、やはりこの作品は音楽を描いているシーンが抜群に良いです。
もちろん、その背景であるストーリー部分もまたこの作品の魅力。
初ライブまで練習で論争を繰り広げて、しかし初ライブの目前にハンナが胸襟を開くような、自宅で話をする一幕がある。
この一幕があればこそ、本番で緊張する彼女を支える大の有り様が際立ってくるのでしょう。
しかし、その上でやはりライブが良い。すこぶる良いのです。
分かる人には分かると思いますが、この初ライブはおそらく映画「BLUE GIANT」でも引用されている。
映画が引用するほどに、セッションする有り様の尊さが際立っていたシーンでしたね。
そしてそんなライブがあればこそ。
彼らがベルリンへと旅立つ物語に説得力が生まれる次第です。
今できることを出し切って、テストに答えが出た。
客の言うように、サックスとベースのデュオではパッケージとして音楽が成立していない一面も否めないわけです。
かねてより予定していた通り、リズムセクションの仲間集めは必要不可欠ではある。
それがライブの絵からすら見えてくる。
このライブの説得力こそ、まさにブルージャイアント。
素晴らしい一巻でした。読み応えがありました。
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