一陣の光さんのレビュー一覧

けがをしていた人魚さんを助ける、というファンタジ
ーに、無職だった主人公が一念発起、バイトを始める、
という生活感あふれる展開が、高次元で調和している
”おたき”先生の表題作・第一話から第七話までが収め
られた作品集。
印象的な収録作品は、連れてきたはいいものの、どの
様に接したらよいのか、手探り状態で・・・な第二話
「ごはん」。
読んでいて印象的だったのは、絵画のような、コマの
構成力。フルカラーで掲載されていることもあり、構
図に読者をひきつける”力感”を感じました。リアルな
生活感とファンタジーの絶妙なバランスが巧みな一冊。

表題作・全三話、独立したストーリーの短篇二本と
前作品のアフターと、アナザーストーリー二本を収
録した”筧秀隆”先生の作品集。
印象的な収録作品は、ファミレスでウエイターをし
ている主人公。最近、毎日の様に来店している女の
子に・・・な「ギャルちゃんの素顔」。
読んでいて印象的だったのは、アイドルデビューし
た女の子の、カラダを張った”営業”。需要と供給と
いう言葉が浮かんできました。こうしたことを乗り
越え、切磋琢磨して”成功”をつかんでゆく訳なので、
サクセスストーリーとして読むことが出来、読後感
の良さが印象に残りました。軽快な読み心地の一冊。

ヒロインのメリハリあるスタイルを包む、地味な事
務服が記憶に残る”pikomaro”先生の表題作・一枚目
～七枚目とおまけを収めた作品集。
印象的な収録作品は、同じ部の女性が、知り合いか
ら引き取った”子猫”。その、かわいい姿にメロメロ
な部員たち・・・な四枚目「癒しの愛玩動物」。
読んでいて印象的だったのは、持ち込まれた領収書
からストーリーを構築し”妄想”するヒロイン。ここ
まで想像力がたくましいと、違う職業でも独り立ち
してゆけるのでは、と、感じました。地味な制服姿
のヒロインが”眼福”なインパクトを放つ、鋭い一冊。

"竹下けんじろう"先生の、女性遍歴を重ねる主人公を
描いた表題作の、acme.13からfinal acmeまでの六本
を収めた、完結巻。
印象的な収録作品は、学校の教員をめざしている女性
と知り合った主人公。教師には必須の”水泳”。しかし、
泳げない彼女を、”夜の海”でコーチすることになって
・・・な「acme.13 かすか」。往く(いく)ことに少し
”ためらい”のあった彼女の、背中を押す、主人公が印
象的な作品でした。
読んでいて印象的だったのは、ラストに向かって幻想
的な展開となってゆく、その結末への流れ。主人公が、
女性遍歴を重ねてゆく理由(わけ)を”そこはか”となく
さししめしている様に、感じました。長篇作の完結巻。

繊細な描線で描かれた、シンプルなキャラクター
デザインのヒロインが記憶に残る、”杏咲モラル”
先生の「町内妹キャラ図鑑」シリーズ・全九本と、
独立したストーリの短篇七本を収録した、300ペ
ージを越える、大ボリューム作品集。
印象的な収録作品は、家が隣で、兄妹みたいな関
係の主人公君とヒロイン。最近、色っぽくなって
きたヒロインに・・・な「恋のご祈願!」。巫女装
束(みこしょうぞく)のヒロインが、愛らしい短篇
でした。
読んでいて印象的だったのは、何気に高い処女率
と積極的なヒロイン。それまでに主人公とヒロイ
ンが互いに恋愛感情を抱いている、というところ
から始まるので、スムーズにカラダの関係へ至る
(いたる)ゆえ、テンポのある読み心地が味わえま
す。愛らしい顔立ちと破壊力抜群のカラダが、増
量されたページ数から”あふれでる”、強力な一冊。

メリハリのあるカラダを持った清楚系人妻を、豊満
に描く”コア助”先生の、2016年から2017年に雑誌
”ナマイキッ!”へ掲載された、短篇八本を収録した作
品集。
印象的な収録作品は、親の決めた”お見合い”で結婚
をすることにしたヒロイン。”箱入り娘”で、家が厳
しかったので、それまで男性とお付き合いしたこと
もない彼女にとって、処女のまま迎えた”新婚初夜”
で・・・な「人妻な処女」。
読んでいて印象的だったのは、普段、清楚で従順な
人妻のヒロインたちが、男性側からの積極的なアプ
ローチを得て(えて)、”肉食”な一面(いちめん)を垣
間(かいま)見せる、その姿。愛らしい印象のキャラ
クターデザインが”その”変化をより引き立てている、
と、強く感じさせてくれました。
行動的・能動的になるヒロインが、記憶に残る一冊。

特殊な環境や、戦時下に置かれた人間の”心変わり”を
参考文献をもとに描く、四本の独立したストーリーを
収めた作品集。
印象的な収録作品は、戦時下、ドイツの強制収容所に
収監された女性達の不幸を描いた「特別棟の女たち」。
搾取する側、搾取される側、という、立場の違いから
人間は、かくも冷酷になれるのか・・・が、ヒシヒシ
と伝わってくる作品でした。
読んでいて印象的だったのは、繊細なタッチで優しく
スッキリと描かれた絵柄が、重厚なストーリーを読み
やすくさせている点。
そんな時代もあったのかと、感慨を抱く、そんな一冊。

”妄想”を前面に打ち出し、展開してゆく構成が、ある
意味、斬新な”ノッツ”先生の、表題作take1~12に描
き下ろしの「軽音楽部」篇を加えた作品集。
印象的な収録作品は、もし、水泳部にいたら・・・な
take9「水泳部の岡本さん」。
読んでいて印象的だったのは、”狂言廻し”担当で主人
公な刈谷くんの”妄想”を、紅一点の岡本さんと”ツレ”
の夏目くんが聞いてゆく、という展開で進行してゆく
そのスタイル。とても新鮮に感じられました。主人公
の”妄想”で話が進むので、浮世離れしていきそうにな
るのか、と思いきや、極めて常識的な岡本さんと夏目
くんの存在がキッチリと下支え(したざさえ)している
ので、荒唐無稽(こうとうむけい)な”夢想”に行かせな
い役割をも担っている、と、感じました。
意外にも、現実的な”妄想”が逆にリアルな感覚の一冊。

制服姿のOLを、キッチリと描きあげていて好印象な
”THE　SEIJI”先生の、表題作・全九本と短篇一本が
収められた作品集。
印象的な収録作品は、注目を集めていそうでいて社内
では存在感の薄い存在になっている”受付嬢”の生態を
描く「Vol.0(株)玉造ベアリング受付嬢・山村和子」。
読んでいて印象的だったのは、おざなりになりがちな
OLの仕事ぶりを丁寧に描写・描いている点。ソフトエ
ッチ系な作品集なので、手を抜きがちなところをキッ
チリ表現している姿勢に好感を持ちました。登場する
制服姿のOLさんたちが”眼福”な軽快な読み心地の一冊。

メーカー別にまとめられた、商品としての”うんちく”が、
すんなりと入ってくる、巧みな表現力・構成力が記憶に
残る”わだぺん。”先生。
読んでいて印象的だったのは、ヘッドホンが再生する音
質を表現する構成力。音という、言葉や絵では、上手く
伝えられない”もの”を、巧みに読者へと伝える事に成功
している、と、読んでいて感じました。
スマートフォンの普及や、CDよりも再生帯域が広くなっ
たハイレゾなど、カナル式イヤホン等、注目されている
ヘッドホンの”うんちく”が手軽に得られる、そんな一冊。