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はるのうた 第五話

  • はるのうた 第五話 [チューリップ庵]
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はるのうた 第五話 [チューリップ庵]
サークル名 チューリップ庵
販売日 2021年07月18日
更新情報 2025年05月26日
シリーズ名 はるのうた
年齢指定
作品形式
ファイル形式
PDF
その他
ページ数 28
ジャンル
ファイル容量
671.93KB

作品内容

はるのうた 第五話

若様の老執事は、衣裳部屋で靴にブラシをかけていた。
「昔のように体が動かなくてねぇ。簡単なお仕事だけ回ってくるようになった」
 小さな椅子に座って、彼はため息を付く。
「こうして腰をかがめているとシンドイんだ」
「背が高いから余計だろ」
 ハルは床に座り込んで靴を抱える。
「若様が公爵様に、ハルに夜伽はさせないが、近くに置いて気晴らしをする相手だとおっしゃったらしい」
「うん……」
「性質が悪いといって、城内の偉い人達が眉をひそめている」
 ハルはモリースを見上げる。彼は靴を見下ろして作業を続けていた。
「欲求を吐き出す道具としてならいざ知らず、心を通わせる相手など性質が悪いということだ。偉い人達は、お前が手練手管で若様のお心を掴んで、妾になろうとしていると思っている」
「俺は皇太子のもんだよ」
「若様がねだれば、皇太子殿下はお前をくださるよ。若様は今、何をねだっても叶えてもらえる立場にいるんだ。我が星から宇宙の学び舎に出る、最初の一人だからね。未来なんだ、若様は……宮殿の偉い人にとっても、この城の皆にとっても」
 若様のものに。若様の、奴○に……。ハルは心が揺れる。
 モリースがハルに目線を映す。
「お前にのめり込んでお勉強をサボったり、果ては宇宙に行きたくないと言い出したらと心配しているんだ。排除されないように気を付けるんだぞ」
「排除?」
「周囲がお前を強引に、皇太子殿下に返してしまうかもしれない」
「そんな……」
「事故で死んでしまうように、工夫するかもしれない。死んでしまったら若様はもう、執着できないからな」

更新情報

  • 2025年05月26日
    価格改定
    200円から300円に変更

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