一陣の光さんのレビュー一覧

新入社員が上司を選ぶ、という斬新な設定が奇抜な
”ひみつ”先生の表題作・第11話～第19話(最終話)
に番外編1～3を収録した、完結巻。
印象に残った収録作品は、それぞれに人間味があり
かつ魅力的な女性上司ゆえ、結局、選ぶことができ
ない”三田新一”・・・な、「第19話」。
読んでいて感じたのは、人間味溢れる、女性上司達
の生態。特に”新開地るな”は”ひみつ”先生のお気に
入りだったのか、話数を割いて描かれていていまし
た。奇抜さや斬新さが記憶に残る、表題作の最終巻。

『ONE TEAM』という表現が相応しい”藤丸”先生が産み
出した作品の世界観が、芳醇な読み心地となって読み手
へと伝わってくる、短篇十一作品を収めた単行本。
印象に残った収録作品は、若い雌牛を廃用にしたことが
引き金となって、家業を辞める決意を固めた男性主人公。
そんな時、彼を”ご主人”と呼び、慕ってくる女の子に勇
気づけられる・・・短篇「はるの牛飼い」。何気に現代
社会の暗部を織り込む、その手腕にヤラれた、お話でし
た。
読んでいて感じたのは、”藤丸”先生が自身の作品を、ま
るで子供の様に大切に想っている、その姿勢。前単行本
「ラブミーテンダー」に収められている短篇「8月の灯」
と世界観・設定を一とする、本巻・収録の「夏待ちの日」
「8月の灯(了)」に登場する、男性主人公”ひろくん”に
対する思い入れの強さは、読み手へと芳醇な読み心地を
提供していて、強く、記憶に残りました。
生と性を、深く、意識させる”藤丸”先生の単行本。良作。

登場人物の『そこにいる感』『生活感』を生々しく描写
する”関谷あさみ”先生、コミックバベルに掲載した三話
構成「先生、 」シリーズと短篇五作品を収録した、単
行本。
印象に残った収録作品は、男子主人公”道くん”は、隣に
住んでる年下なヒロイン”梗子”へ、自らの感情のおもむ
くまま、キスしたことを気に病んでいたが・・な、短篇
「隣の家の彼女」。”道くん”を、男性として受け入れて
いることを、本人にキチンと示した”梗子”が大人っぽい、
お話でした。
読んでいて印象的だったのは、”関谷あさみ”先生が産み
出すキャラクター達の存在感。呼吸をしているとか食事
をしている、飲み物を飲んでいる、とかいった何気ない
生活感が登場人物に厚みを与え、カラミにリアリティを
加えている感覚が、そこにはありました。
創作された物なのに絵空事とは感じられない一冊。良作。

スッキリと整理された描線と、白衣といった衣装を
印象的に用いた”すぎぢー”先生、三本構成の一作品、
短篇三作品を収録した、デジタル作品集。
印象に残った収録作品は、クラスの保健委員な男子
主人公”素彦”。保険医なヒロイン”美緒”の、役に立
とうと・・・な、短篇「性・長・期」。体幹のしっ
かりしたヒロインと小柄な男子主人公とのコントラ
ストが、ほのかにおねショタな香りを漂わす、お話
でした。
読んでいて印象的だったのは、経験豊富なヒロイン
が、童貞・女性経験があまり無い男子主人公を美味
しく味わっている点。前述した短篇「性・～」では
童貞で包茎な”素彦”の巨根を丁寧に剥きあげ、美味
しく戴く、ヒロイン”美緒”を詳細に描いていました。

導入部に、他の”ハッチ”先生・作品とは異なる流れ
があり、新規軸なのかも・・・と思った短篇。
大切に育てられたお嬢様”リサ”の、面倒を見ている
執事”あきよしよういちろう”。八年前から行方知れ
ずとなった”リサ”を探し出し、再会したら・・・な、
ストーリー。
読んでいて印象的だったのは、重厚な仕立ての作品
が多い”ハッチ”先生の短篇としては、軽快さが際立
っているところ。ひょっとしたら”ハッチ”先生自身
の息抜きの為の作品なのかも、と読後に感じた短篇。

『周囲を気にせず、いまを楽しくすごす』を信条
としているヒロインが、まばゆい程の魅力を放っ
ている”史鬼匠人”先生、表題作・全四話を収録し
た単行本。
印象に残った収録作品は、ヒロイン”此先理香”が、
”きもっち”と命名した男子主人公”田辺”のことを
好きなんだと自覚した「第三話」。
読んでいて印象的だったのは、学生生活も勉強も
上手くゆかない”田辺”が、学内転科してヒロイン
”理香”と出会い、彼女に筆おろしをしてもらって、
彼以外は全員女子な同じ科内の子とヤリまくる姿
を丁寧に描いている点。しかし、そんなウハウハ
な状況になっても、控えめで、相手のことを大切
に考える”きもっち”を好きになる”理香”の気持ち
が理解できる構成となっています。
『いまを楽しくすごす』というヒロインの信条に
うらやましさを感じずにはいられない一冊。良作。

思い込みが激しく、突っ走るヒロインがインパクト
抜群な”吉田”先生、二本構成の一作品と短篇八作品、
本巻用に書き下ろした二本を収録した単行本。
印象に残った収録作品は、子供の頃から友達なので
恋人とかそういうのは全く、意識などしていなかっ
た男子主人公”雨宮”と、彼のことを異性として意識
しまくりなヒロイン”桐江蘭子”。あまりにもニブい
”雨宮”へ、今日こそは意識させようとして・・・な、
短篇「映画みたいに恋したい」。
読んでいて印象的だったのは、思い込みが激しくて、
暴走ぎみなヒロインの姿。前述した短篇「映画～」
のヒロイン”蘭子”は、処女なのに童貞な”雨宮”と映
画館のトイレで初体験という突っ走った展開となっ
てます。
『暴れ馬』の様なヒロイン達が、如何にも、口走り
そうなセリフが、本巻のタイトルとなっている一冊。

"雨山電信"先生が産み出す、老練な作品世界の構築に
他の作家では真似の出来ない個性を感じる、短篇五作
品と、四季で割り振られた四本構成の中篇一作品が収
められた単行本。
印象に残った収録作品は、孤島『星跳島』を数十年ぶ
りに訪れた男性主人公。小料理屋で出逢った”渚”とい
う女の子に、その昔、世話になった女性の面影を感じ
取った彼は・・・・な、四本構成の中篇「人魚の島」
の「～春～」。”島の海女”として初めて客をとる”渚”
を仕込む、男性主人公と彼女の母親との親子丼を描い
た、お話でした。
読んでいて感じたのは、作品の、世界観の構築に老練
さと巧みさを感じさせる点。セックスを欲望のはけ口
としては描かず、生活の一部として描いてみせること
で作品の世界観・視野がグッと拡がっていて、他の作
家には描くことのできない境地に到達している感覚を
読後に感じました。確かな読み応えのある一冊。良作。

体幹のしっかりした女性と、骨太ながら小柄な男性との
カラミを煽情的に描く”十はやみ”先生、本巻描き下ろし
一本を含む、四本構成の中篇一作品と、五話構成の中篇
一作品に、前・後編構成の一作品を収録した単行本。
印象に残った収録作品は、経営している会社を倒産の淵
に追い込み、自らは海外へ逃走した父親と血縁な男子主
人公”筧 央太郎”。父親のもとに後妻で入ってきた継母
”マリカ”との共同生活の中で・・・な、前・後編構成の
「ふたりぐらし」。どっしりと構え、”央太郎”と、その
父親を支えている”マリカ”を印象的に描いた、お話でし
た。
読んでいて印象的だったのは、体幹のしっかりしたヒロ
インが世間の荒波に揉まれ、弱気になっている男性主人
公をそのカラダで支えてゆく姿のたくましさ。骨太なが
ら小柄に男性主人公を設定している”十はやみ”先生の狙
いが理解できました。ほのかに『バブみ』を感じる一冊。

セックスしたい。しかし、誰でもいい訳じゃない、とい
う純粋なメッセージが、収録されている各作品に息づい
ている”からあげチャン”先生、短篇五作品と巻頭を飾る
カラー短篇を含む、三本構成の中篇「ぼくの先生」を収
めた単行本。
印象に残った収録作品は、受験戦争の只中に身を置く男
子主人公”夕仁”くん。勉強を教えてもらっている女性家
庭教師”花澄”先生が時折、挙動不審になるので勉強に身
が入らず・・・な、中篇「ぼくの先生」シリーズ。互い
のカラダでセックスの深淵を知ってしまった”夕仁”くん
と”花澄”先生が二人で挑む、受験戦争を制することがで
きるのか、をインパクト抜群で描いた、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、リビドーをみなぎらせて
いるヒロインの姿。でも『竿』さえあれば誰でも受け入
れる、という訳ではなくて『この人』と決めた相手に対
してのみカラダを開く、矜持をもって描かれてあり、そ
こに”からあげチャン”先生の純粋さを感じました。良作。