一陣の光さんのレビュー一覧

気になっていた、作家さんの短篇が収録されているのをみて、購読に至りました。巻頭を飾る”みにおん”先生の、少年誌に掲載されていても違和感のない絵柄で、アクの強めな展開が個性的でしたし、”あわじひめじ”先生の、もう定番・帝石な陵辱の重厚な読み心地、”花犬”先生が描く、用務員のおっさんがイイ味・醸し出している、無垢な少年・少女へ性の深淵を教え込む短篇、などなど、堪能できる短篇作品集。

男子主人公のコワモテ率・高めな”焼きトマト”
先生、二本構成の一作品と短篇四作品、デジタ
ル特装版として短篇一作品を追加収録した、単
行本。
印象に残った収録作品は、卒業式・終了直後の
男子主人公”たけちゃん”を急襲する、後輩女子
な”姫子”。”たけちゃん”を急かせる”姫子”の目
的は・・・・・な、本巻へ追加収録された短篇
「ふたりでデキるもん!」。顔面凶器かつ巨根が
すぎる”たけちゃん”と、何とかして結ばれよう
と、涙ぐましい努力?を重ねる”姫子”がいじらし
い、お話でした。
読んでいて感じたのは、コワモテ率・高めな男
子主人公。が、内面は、相手を大切に想い、気
遣う優しさあふれる性格となっていて、そのギ
ャップが印象に残りました。顔面凶器な男子主
人公と、可愛いヒロインとの対比が楽しい一冊。

オトコの解釈・オンナの解釈・・・ほんの少しの解釈
の違いから導き出される結論は・・・”よこしま日記”
先生、短篇八作品へ、特装版として更に短篇二作品を
追加収録した、自身二冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、未だ、手も繋いだことすら
無い、清い交際を堅持しながら付き合い始めて半年の
”茂君”と”加奈”。誕生日間近な”茂君”に希望を聞いた
”加奈”は、彼の口から出た『ソープ』という言葉から
とある決意をする・・・な、短篇「ソープのすゝめ」。
”茂君”に最高の誕生日を迎えてほしいと、涙ぐましい
努力?を重ねる”加奈”が可愛い、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、解釈の相違から、ズレ
が生じているものの『結果・オーライ』となっている
ところ。前述した短篇「ソープ～」も、二人の結び付
きを強化しているコトには、なっているといえるので
ハッピーエンドなのかな、と、感じました。
コミカルなのに、そうは見せない努力、を感じる一冊。

シナリオに”やながわ理央”先生の個性がほとばしる
短篇六作品を収録した、デジタル作品集。
印象に残った収録作品は、クリスマスに浮かれる周
りを冷静に観察しているヒロイン。サンタのコスプ
レで仕事を求めている男の子と出会ったヒロインが、
戯れに、彼の童貞を奪うことになる・・・・・短篇
「サンタ・ボーイ」。
読んでいて印象的だったのは、”やながわ理央”先生
の個性を、強く感じさせる点。従順で、童貞な男子
主人公を美味しく戴くヒロインが魅力的に描かれて
います。
『オチ』も、やはり”やながわ理央”先生らしい一冊。

ほのぼのした絵柄にインモラルな展開という
二律背反さが凄い”浦瀬しおじ”先生の短篇。
幼馴染で男性主人公”秋彦”の婚約者でもある
”夏樹”と、”秋彦”とは兄妹な”春香”の三人が
連れ立って温泉旅行。”夏樹”が寝入ったあと、
”秋彦”と”春香”は・・・な、ストーリー。
読んでいて感じたのは、ほのぼのした絵柄で
展開してゆく、意外に鋭いインモラルな展開。
陰影が強めな、”浦瀬しおじ”先生の短篇作品。

ワニマガジン社系作家さんの、層の厚さをつくづく感じる”comic快楽天”の2020年3月号。印象に残った収録短篇は、35歳・男性主人公を甘えさせるヒロインもまた、甘えん坊・・・”八尋ぽち”先生、突如、街に出没した石油王の嫁探しオーディション・・・”石川シスケ”先生と、トンでも設定なのに説得力のある短篇や、オーソドックスな展開の短篇なのに”藤丸”先生の個性が光る作品が記憶に残りました。

物静かではあるものの、劣情を隠し持っているヒロイン
をネットリと表現する”ビフィダス”先生、comic失楽天
に掲載された短篇十作品と本巻・描き下ろしの収録短篇
後日譚・六作品を収録した、ワニマガジン社刊としては
初めての、自身、通算三冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、久々な再会のヒロイン”星原”
と男性主人公。ボーイッシュかつ、ちんまくて、目つき
の悪さは昔のまま。ただ、要所要所はオンナになってい
て・・・な、短篇「トモダチ卒業」と、その後日譚的描
き下ろし「トモダチ卒業～その後～」。ずっと告げられ
なかった想いを、カラダを交えることで伝え合う二人が
記憶に残る、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、物静かなヒロインが、内
に秘めた劣情を開放している、その姿。”ビフィダス”先
生の、女性の好みが反映されているのかもしれませんが、
平素、セックスを感じさせない女性が、欲望を『点火』
すると狂おしく乱れるのが、たまりません。そんな時で
あっても、ウエットで物静かなヒロインの気質が失われ
ることなくカラミをみせるのが、他の作家さんにはない
”ビフィダス”先生独自のアドバンテージだと感じました。

担当編集者さんの勧めもあり、人妻・不貞モノ路線
へ方向転換した”おじょ”先生、コミックメガストアα
に掲載された、前・後編構成の一作品に短篇十作品、
収録短篇の後日譚的描き下ろしとあとがきの二本を
収めた、自身二冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、野球部女子マネージャー
の”佐倉ミカ”は、レギュラー・十一人の性的欲望を
そのカラダで、一手に引き受ける・・・・な、短篇
「セクシャルマネージャー・ミカちゃん」。相手に
よって好みの『穴』が異なるのも万事、受け入れる
”ミカ”を、女神と称賛するレギュラー達の気持ちが
理解できる、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、本刊・巻末のあとが
き的な描き下ろしにつづられた、登場人物の仕様に
博多弁を与えたり、人妻の不貞にフォーカスしたり
と、自身が作家としての在り様に苦悩している、そ
の姿。本音とか苦悩が色濃く、つづられていました。

豊満なカラダのヒロインを、スッキリとした描線で
清潔に表現する”宮部キウイ”先生、前・後編構成の
二作品と短篇四作品を収録した、単行本。
印象に残った収録作品は、文化祭の準備に慌ただし
い教室。執事のコスチュームが似合う、ボーイッシ
ュなヒロイン”ツバサ”は、幼馴染で、同じクラスの
男子”ナツキ”が昔、彼女に放った言葉を、未だに引
きずっていた・・・な、短篇「君が一番可愛い!」。
”ナツキ”が、過去の発言を修正・撤回、初体験へと
進む流れがオーソドックスながらインパクト抜群な、
お話でした。
読んでいて感じたのは、スッキリとしたコマのコア
マガジン社系・作家さん、ならでは、な絵柄の妙味。
整理された描線が、ヒロインのカラダを清潔に見せ
ていて、記憶に残りました。
オーソドックスでありながら、読み飽きない作品集。

新入社員が上司を選ぶ、という斬新な設定が奇抜な
”ひみつ”先生の表題作・第11話～第19話(最終話)
に番外編1～3を収録した、完結巻。
印象に残った収録作品は、それぞれに人間味があり
かつ魅力的な女性上司ゆえ、結局、選ぶことができ
ない”三田新一”・・・な、「第19話」。
読んでいて感じたのは、人間味溢れる、女性上司達
の生態。特に”新開地るな”は”ひみつ”先生のお気に
入りだったのか、話数を割いて描かれていていまし
た。奇抜さや斬新さが記憶に残る、表題作の最終巻。