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悪魔を騙り魔女と化す
1800年代アメリカの物語だというのに、不意に言霊という言葉が思い浮かびました。
まずお姉ちゃん、やりたい放題です。ことあるごとに『悪魔』を言い訳に弟を弄び、そのルカのことも別に愛しているわけではなく、弟が自分に触れることすら許さないエゴイストっぷり。(好奇心の化物っぽいので、年頃の雄だったら誰でも良かったんだと思います)しかし神は母親の目を通して、すべてお見通しでした。
あの時代に『あの結末』を迎え、これまでの言行に相応しく魔女扱いされるだろう姉と、対照的に男として着実に成長していく弟。実に見事な対比だと思いました。
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作品のボリュームのためか、二人ヒロインという体制のためか、畳みかけるようなエロシーンの連続です。
その点では必要十分かと思います。
しかし、愛欲姉妹ロリータの眼目はむしろ『それ以外』かもしれません。
姉妹にご飯を食べさせたり買い物したりお茶を飲んだりという何気ない日常風景と、その中に見え隠れするきな臭さ。日常の中に不意に紛れ込んだ異物のような言葉選び、ヒロインの放つすっとぼけたギャグ。だんだんとエロシーンの合間に挟まれた日常シーンのほうが待ち遠しくなりました。
主人公が内省的でありながらそこに溺れすぎることなく、世故に長けているというか腹黒いのもいいです。脅しすかしもおり混ぜて、社会的には絶対正しくない姉妹との生活を守るために手段を選ばないの、いい……。
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2022年09月04日
起にあたる一章と承にあたる二章がセットになった作品です。
異能力者同士のバトルの中で、無邪気だけれど底知れない魅力を持つ《さんちゃ》と、等身大の女の子でありながらけっしてへこたれない主人公《にぃ》の名コンビに癒されます。特に主人公のにぃのキャラクターが親しみやすく、物語へすんなり入っていくことができました。
畳みかけるような怒涛の展開と、読み手を一瞬たりとも油断させない構成には舌を巻きました。
ボリュームのある作品ですが、牽引力のあるストーリーと癖のないテキストのおかげでストレスなく読み進めることができます。謎を無闇に引き延ばすことなく、読み手の疑問に速やかに応えてくれるところも好印象でした。
バトルはもちろんのこと、二章からはミステリー的な要素も含まれて、さらにきな臭い展開に。一章では見ることのできなかったキャラクターの意外な側面を垣間見てしんみりしたりと、まさに《視界と世界を広げる》というテーマに恥じない作品でした。
にぃとさんちゃの絆と更に深まる蠱毒の謎。これからがますます楽しみです。