一陣の光さんのレビュー一覧

今号も安定・安心な”comic快楽天ビースト2020年5月号”。印象に残った掲載作品は、小悪魔なのか天使なのか・・・”もず”先生、「関ケ原さん～」シリーズが遂に完結・・・”つかこ”先生、後輩男子の想いを受け入れる先輩女子・・・”れぐでく”先生、仕事の同僚からオンナとオトコへ移行する瞬間・・・”菊のすけまる”先生、女子友に彼氏を譲るヒロイン・・・”長頼”先生などなど、中身が更に充実な一冊。

骨太な舞台・環境設定と”彩画堂”先生の芳醇な絵柄が
濃厚な世界観を読み手に残す、表題作・第10話から
第18話(最終話)を収録した完結巻。
印象に残った収録作品は、男子主人公”すばる”へ、旦
那様からの指図で飲ませる薬を、密かに服薬していた
”すすき”が、自らのカラダにたぎる欲望を抑えきれず
・・・な、「第13話・蝕まれる関係」。
読んでいて印象的だったのは、”彩画堂”先生の芳醇な
女体描写と、サスペンス仕立てな舞台設定が生み出す
妙味。全二巻の圧倒的なボリュームと共に、濃厚な作
品の世界観が読み手を包みます。
メイン・ヒロイン”マナ”との建設的で前向きな結末を
迎える”すばる”に希望と輝きをを感じさせる、完結巻。

オーソドックスなストーリーを”デイノジ”先生は
如何に魅せてくれるのか・・・が気になる短篇。
当初、予定していた実習先が断られ、急遽、決ま
った実習先に赴任した、教育実習生でヒロインな
”守崎衛麗乃”。荒廃した校舎、下卑た男子生徒ば
かりの教室で・・・な、ストーリー。
読んでいて印象的だったのは、コワモテなヒロイ
ンがオモチャにされるシーン。
”デイノジ”先生が、オーソドックスなストーリー
へ、自身のテイストを、鮮やかに盛り込んだ短篇。

骨太な展開がいかにも”吉田鳶牡”先生作品らしい
表題作の後編、完結篇。
”成留”くんとカラダを交えた”花恵”は、喪失して
いた記憶を少しずつ、取り戻して・・・な、スト
ーリー。
読んでいて印象的だったのは、鬼籍の人となった
”優真”とのつながりをハッキリと思い出し、その
記憶とともに生きてゆくことを選択した”花恵”の
姿。
骨太なストーリーが重厚な読み心地を残す、良作。

重めなコマで歪んだ欲望を重厚に表現している印象を
読んでいて抱いた”今河ようじん”先生、前・後編構成
の一作品と短篇二作品へ後日譚的な一作品を収録した、
単行本。
印象に残った収録作品は、ヒロイン”ゆさ”を愛でる為、
隠し撮りに勤しむ男性主人公。彼の友人”川本”の自宅
で見た光景に・・・な、短篇「夢見た生活」。
読んでいて印象的だったのは、全ての短篇が勧善懲悪
な結末を迎えている点。歪んだ欲望を重めなコマの絵
柄で重厚に描き、その欲望を完遂した先にキッチリと
『落とし前』をつけさせる”今河ようじん”先生の正義
を感じました。
欲望のはけ口にされる、ヒロインの儚さ・と繊細さが
記憶に残る、”今河ようじん”先生『勧善懲悪』な一冊。

”comic快楽天・2020年5月号”は、12年の歳月を経て美人になった彼女と秀でるところない彼氏・・・”ボボボ”先生、予期せぬ場所で再会を果たす元クラスメート男子と女子・・・”大箕すず”先生、九年間・音沙汰なしだった元カレ・元カノは「焼け木杭には火が付き易い」・・・”翁賀馬乃助”先生、無表情ながらパーフェクトボディでクールビューティな先輩女性上司に憧れ・本命視している男性部下・・・”オクモト悠太”先生などなど濃密・濃厚な一冊。

冊数を重ねてゆく程に、作画の品質や作劇が着実に
向上しているのが実感できる”史鬼匠人”先生、三話
構成の表題作一作品と短篇二作品を収録した、自身
六冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、社畜人生・驀進中の男性
主人公”後藤田”。自身へのご褒美として近場の温泉
地へ休息しにゆく途上、少し生意気で言葉遣いの粗
雑なヒロイン”リリカ”と知り合って・・・な、短篇
「ナマイキ〇K温泉旅行」。なりゆきで”リリカ”の
処女を奪うことになる”後藤田”の戸惑いが伝わって
くる、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、最近作になるほどに
絵柄やストーリー展開の品質が着実に向上している
点。前述した短篇「ナマイキ～」のような、生意気
な女子キャラは”史鬼匠人”先生の十八番的なクオリ
ティの高さを誇り、印象に残りました。充実の一冊。

最近、その動向を注目している作家さん”大空若葉”
先生の短篇。
ラブラブな彼氏”やっくん”にバースデープレゼント
を用意する為、ネットで知り合った”ドラ門さん”と
いうオジサンとラブホへ行く、ヒロイン”愛佳”ちゃ
ん・・・な、ストーリー。
読んでいて印象的だったのは、そんなこと、しそう
もない印象付けをするために、キャラクターデザイ
ンや方言を用いていて、それが成功している点。絵
柄もインモラルな雰囲気を払しょくしている、短篇。

ヒロインの方言がインパクトをもって進行に貢献する
”犬上いの字”先生の短篇。
ヒロイン”浅井”は、教師である男性主人公のことが大
好き。事あるごとに告白して迫っていた彼女も、卒業
を迎え・・・な、ストーリー。
読んでいて印象的だったのは、ヒロインの方言が進行
をサクサク進める推進力となっている点。男性主人公
のことを想い続ける一途さが記憶に残る、お話でした。

マンガならではの設定ながら”越後屋タケル”先生の情熱
を感じさせる短篇。
幼馴染で同級生の”イツキ”と”篤史”。腐れ縁の様な関係
で、男同士だと認識していた”篤史”に突然、”イツキ”が
『僕とセックスしてくれないか』と言い出して・・・な、
ストーリー。
読んでいて感じたのは、熱量高めな”越後屋タケル”先生。
自身の好みな設定なのか、カラミも含めて、高カロリー
な展開が、印象に残りました。”イツキ”が可愛い、短篇。