幽（かすみ）さんのレビュー一覧

春待氷柱さんの作品の魅力の『濃厚な百合えっち』『二転三転するラスト』は今回も健在。特にラストに向けての意外な展開はこれまでの作品と比べてもトップクラスの盛り上がり方です。
いやまさか、典型的な『脅迫されてただ状況に流されるだけの主人公』に見えた彼女の正体があんなキャラだったとは…。

最後の二重どんでん返しも主人公の性格もあって綺麗に収まり、すがすがしい余韻が残ります(それまでがドロドロのぐちょぐちょなのはまあ置いとくとして(笑))
濃厚でぐしょぐしょのエロとしっかりした筋立て、繊細な心理描写をすべて楽しみたいなら文句なしに買いの作品だと思います。

春待氷柱さんの作品の魅力である『ちょっと捻った設定』『濃厚な百合えっち』『ラストでのどんでん返し』は今回も健在ですが、今作品には一つこれまでの作品とは決定的に違う点があります。それは…。


読んでのお楽しみという事で(苦笑)。このサークルさんの作品を愛読されている方ほど、最後の展開には意表を突かれることでしょう。
タイトルのダブルミーニングもカチッとあるべきところに収まり、色々な意味でニヤニヤが止まらなくなります。

設定に関係なくゲームを起動するとマウス感度が最低になるらしく、そのままではキャラクターの視点移動・方向転換がまともにできません。

これは『ゲーム内でESCキーを押して開くオプション画面でマウス感度が600(最高)になっているのを確認してOK』で解消します。

が、スタートメニューから開くオプション設定ではサウンド関係しか変更できないため、これに気づけないと延々と操作に耐えないゲームをする破目になります(★一つをつけている人の理由はおそらく大体これだと思う)。

操作方法については丁寧なチュートリアルがついており、これをクリアすればほぼ悩むことは無いと思いますが、一方ゲーム内で何ができるかについてはほとんどノーヒントのため『何でもできるらしいが何をやっていいかわからない』状態に陥りがちです。普通のゲームならその辺のNPCに片っ端から話しかければ何とかなる事も多いですが、このゲームでそれをやると時々問答無用で撃ち殺されたりします(苦笑)。

という訳で現状『女の子を襲ってチームに加える』『女の子を撃ち殺してアイテムと金品を奪う』以外何ができるのか悩み中です。簡単なプレイスタイルガイドみたいなものをつけてくれていればよかったのですが…。

前回はキャストさんにリードしてもらっていた主人公ですが、あれからそれなりに経験を積んだらしく、相手の娘が新人という事もあって今回はかなり積極的に攻め込んで行ってます。まあ調子に乗りすぎて強烈に反撃されたりもしてますが(苦笑)。

あくまでレズプレイなので雰囲気は甘々ですが、今回は前回よりは勝負色強めで決着もちゃんとつきますので、ファイト系が好きな人も満足できる内容だと思います(後、オチの妙なリアルさに吹きました(笑))。

異世界転生で百合でR18な作品、というだけなら掃いて捨てるほどとまではいわずともそれなりの数は出ていますが、あの『天使のパラフィリア』の作者さんとあってはそれだけで済むわけがありません。

トラックに轢き殺されて異世界に転生。
実世界では机上の知識しかなかったくせに何故か実践で無双。

テンプレートそのままの展開のもとに繰り広げられるのは、御都合主義どころではない呪いに襲われた王国を、同人R18漫画執筆で鍛えた百合エッチの知識で救う主人公という、シュールを通り越してどうかしている(←誉め言葉です(笑))物語。

もちろん最後の、一度では済まないどんでん返しの連続も、一転してダークでシリアスな結末も健在です。
個人的には、主人公がいつか真に愛した相手と再会できることを祈って止みません。

主人公の名前やタイトルにもいろいろダブルミーニングが仕込まれており、ついニヤニヤしてしまいます。

この作者さんの過去作が気に入っている方はもちろん、初めてこの作者さんの作品に触れる方にとっても、ダークと言ってもそこまで悲惨な結末ではないのでお勧めです。

ファイトのクオリティはこれまでのシリーズ作品同様の素晴らしさですが、それに加えて今回は一気に物語が動きます。そしてこれまでは目立たなかった『地下』組織のヤバさも…。決着後の『勝利条件』(意味が分かったときは本気で恐怖を感じました)、そしてそれに続くラストシーンの衝撃。
果たして物語がどんな結末を迎えるのか、次の完結編にも期待です。