技術や脚本、おまけ(の域をとうに越えている)漫画などあらゆる面で無類の強さを誇る道草屋シリーズの最新作です。
長時間バスに揺られてやっとたどり着けるこのお宿に日帰りで訪れようとするヘビーリピーターが聴き手です。
▼ぶっ通し2時間50分
今作の特徴はなんといっても2時間50分ぶっ通しでお話が繋がっているところです。
通常のナンバリング作品では1時間前後のパートが2,3本用意されていますが、今回はそれに匹敵するボリュームを1パートにぶち込んでいます。短編とは??
少し遅めの昼食後から、日が暮れ始めてお宿を後にするまでノーカットで構成されているため時間の流れをリアルに体感することができ、没入感を高めてくれます。
▼信頼関係を感じる距離感
今作はこれまでにないくらい長時間ほったらかしにされます。
はこべらさんと聴き手の間には、これまでの訪問で客と女中の間柄を越えた信頼が築かれつつあります。
鉛筆や彫刻刀のカリコリと小気味良い音がそばで鳴るだけの時間が続きますが「信頼のおける大事な人」が趣味に没頭しながらそれらを鳴らしているのだと考えると、えも言われぬ幸福感を覚えます。
▼R-15チキンレース
今作、これまで本シリーズが頑なに守ってきたであろう一線のひとつが破られます。
これでR-15なのか、ここで終わるのかよ!R-15でここまでやったら次の作品はどうなるんだ!!と悶々とした感情を抱いたままお宿を後にします。
その真相は君の眼で確かめてくれ。
■耳かきパートから聴くと目が覚める
今作のラスト部分は耳かき→甘噛み(激しい)→お別れの順で構成されているため、耳かきパートから聴くとそのまま流れで激しい甘噛みを食らいます。寝るために聴く場合はトラックを分けて聴かないとギンギンに目が覚めるかもしれません。