がろんごうさんのレビュー一覧
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この物語がもし劇場で披露されていたとしたら……
その幕引きと共に私は席を立ち、万感の思いを乗せて惜しみない拍手を送っていたことでしょう。
『多感な時期に経験した、忘れえぬ物語たちに並ぶほど“思い出となる作品”』
私にとって本作はそう表現するしかない、素晴らしい人間讃歌でありました
何よりも登場人物達が魅力に満ち溢れています。
それぞれが事情を抱えながらもまっすぐな心で今に立ち向かい、
支え合って生きる姿には、愛おしさを感じずにはいられませんでした。
誰が主役でも疑問が無いくらいの密度をもったキャラクター達でしたが、
『主人公が主人公足る所以』が物語でしっかり発揮されていたのには、特に感嘆しました。
少年フォルテは英雄的な活躍をする訳でなく、挫折し、あがき、迷い、決断して行動したのみ。
しかしその姿は周囲の人間へ影響を与え、それぞれの物語が動き出す発端となっており、
この『主人公がいたからこそ』という強い説得力を発揮していました。
そんな生き生きとした登場人物たちが、物語の正道をひた走るのです。
すべてのシーンに共感し通しで、紛うことなく『彼らと共に泣いて笑った』ひと時と言えます。
幕引きが迫る頃には、物語の区切りが迎えられて嬉しい、でもこの世界から離れたくない…
そんな風に思ってしまったほどです。
心からの満足感を味わえた本作に出会たことは、本当に幸福でした。
このボイスドラマを制作してくださったサークルさんや関係者さんに、
遠くから拍手を送らせていただきたいと思います。ありがとう!!
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旅行を題材にした音声作品が聴きたい!!
常々そう希求していた私にとって、本作はまさに願ったり叶ったりの一作でした。
観光地の空気感を楽しめる、解説に知識欲が満たされる等、見どころは沢山でしたが、
一番は『私の“かくあってほしい”に、ヒロインが応えてくれた』点でした。
率直に言うと、世界の美しさを表現するにあたり、音声作品という媒体は力不足です。
『百聞は一見に如かず』という言葉を想起すれば、理解が早いことと思います。
それでも音声作品で眼前からもたらされる感動を伝えたいと望むならば……
私は『人の共感性を利用するしかない』と考えていました。
ヒロインは明るく素直に感動し、歴史に思いを馳せ、こちらに温かい好意を向けてくれます。
その様は共感を呼び、「愛すべき人が喜ぶ世界は素晴らしい世界」とでも言わんばかりに
想像だけではおぼろげな景色が、彩り鮮やかに染まっていきました。
真に生き生きとした彼女が一緒だったからこそ、心躍る疑似旅行体験が出来たのです。
とても素敵な作品でしたが、がんばってほしかった箇所もあります。
場所や歴史等の解説ペースが早めであり、『情報の洪水』のように感じられる点です。
現地で聴く分にはこれでもよいですが、『光景の想像』というプロセスが必要な宅聴きの場合、
それを行う猶予がありません。今後はぜひ考慮に加えていただきたいです。
別の切り口から再度、京都を満喫できる次回作も楽しみに待っています。
本作中の台詞等から関連が見えるのも…わくわくさせてくれますね!!
「心が乱れてしまったとき、深呼吸をすると徐々に落ち着きを取り戻すことが出来る」
「マインドフルネス瞑想」はそんな、誰もが一度は体験したことがあるそれを深化させたもののようで、
結論から言えば「試してみる価値十分」です。
自身の呼吸、そして体の状態に集中することが瞑想への第一歩と説明されますが、
実際にやってみるとこれがなかなか難しいです。
初めこそ一心に呼吸へ意識を向けることが出来ますが、どうしても湧き上がる雑念に囚われてしまいがちでした。
ですがそれは自然なことであり、呼吸へ注意を戻していくことが大切なのだと作品は説いてくれます。
この「集中→散漫→再集中」を繰り返すプロセスは、
まるで何度もやってくる心の乱れを、深呼吸でその度に落ち着けていくようでもありました。
ですが決して上手くは出来ないながらも、それを続けていくと僅かではありますが実感が伴ってきます。
「受け流したり、受け入れたりする心の力がちょっとだけ強くなったかな」と。
無責任な行為による被害や、謂れなき苦痛を他者から受けることも多い現代、
精神安定と心の鍛錬、達成感を同時に目指すことが出来る「マインドフルネス瞑想」、
そしてこの作品は、よりよい日々を送るための確かな介添えになってくれると思います。
また、解説する声優さんがとても良かったです。
優しいお姉さん味のあるお声は、繰り返し聞くことが苦になりませんし、
瞑想へ二人三脚で挑むかのような心地や意欲をも与えてくれました。
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本作の魅力が「大自然の中でのキャンプ」なのはもちろんですが、
ヒロインのキャラクター性が、そのシチュエーションを何倍も生きたものにしていた、と感じました。
明るく人懐っこい性格は、開放的な環境で高まる気分をより後押ししてくれましたし、
そんな彼女が眠るなどで大人しくしている際は、打って変わって穏やかな時間が流れているのを実感できました。
この静と動の変化、そして幼馴染だからこその愛らしさや隙が親しみを増幅し、物語に引き込んでくれました。
また、進行や構成のテンポが非常にちょうど良く、染み込むように聴けるのもよい点です。
「好意が胸にありつつも自然体で居られる、幼馴染と一緒の時間」が見事に表現されていたと思います。
自分としては「渓流釣り&うたた寝」のパートが特に好きで、会話が少なくてもとても居心地良かったです。
前述した、幼馴染と二人きりならではの空気感、時間を存分に楽しむことが出来ましたし、
その後主人公に寄りかかって眠るヒロインの声と吐息は、肩に幸せな重さと温かさを感じさせてくれました。
とても爽やかで満足できた作品でしたが、欲を言えば更に「夕食のシーン」が欲しかったです。
「主人公=自分」が獲った魚を「ヒロイン=好きな人」が食べる様は、男性なら絶対に面白いと感じるはず…!
この可愛いヒロインが! 焼き魚を! はふはふしながら! 美味しそうに食べるシーンが! 欲しかった…ッ!!
冗談はともかく、次回作も夏の海などの自然環境シチュエーションに挑戦していただけたら嬉しいですね。