一陣の光さんのレビュー一覧

選手たちの競争心理を描写する”真っ直ぐな瞳”が
強く印象に残る”活火秀人”先生の表題作・第8走
から第14走までが収められた作品集。
印象的な収録作品は、疲れが出て、自室で寝こけ
ていた主人公の部屋へ、彼に呼ばれていた子が訪
れ・・・な「第12走・プライベートマッサージ」。
読んでいて印象的だったのは、成績上位な選手達
の、澱みのない真っ直ぐな”瞳”と、絞り込むこと
で鍛え上げられ、その子の真剣さを表現している
”腹筋”。バチバチ火花散る、その場の”臨場感”も
又、本作の隠れた”魅力”だと感じました。
登場する選手たちの”本気”が真っ直ぐ伝わる一冊。

高身長や胸など、コンプレックスを物語の中心に
据えた”久保しゆん”先生の短篇七本が収められた
作品集。
印象的な収録作品は、研究一筋、”理系女子”のヒ
ロイン。同僚の主人公は、そんな彼女を映画に誘
いますが・・・な「True Face」。彼女の不注意
でメガネからコンタクトレンズに。見間違える程、
美人になるヒロインが印象的な、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、ほんの少しの勇気
が出せず、立ち止まっている登場人物の”姿”。背
中を押され、違う一面をみせることで、新たな環
境へと進んでゆく展開が印象的に描かれていまし
た。コンプレックスが”魅力”へと置き換わる一冊。

誰しもが感じる、相手との距離感や”壁”を繊細
に、丁寧に表現する”芥文絵(あくたふみえ)”先
生の表題作を含む、独立した短篇六本と前・後
編一本を収録した作品集。
印象的な収録作品は、放課後の教室で、会話が
止まらない、同級生の二人。仲の良い、いまの
間柄を大切にしたくって・・・な「卒業の日」。
来る日(きたるひ)を前に、お互いの”気持ち”を
確認し合う、切ないお話でした。
読んでいて印象的だったのは、相手との”壁”や
距離感を、すくい上げるかの様に、繊細・丁寧
に描き込んだシナリオの”妙”。誰しもが体験し
感じる事柄を”封じ込めた”ストーリーに、芳醇
な絵柄が、”芥文絵”先生の世界観を忠実に描写
している、と感じました。
あと口の良い、センチメンタルな読後感の一冊。

歴史のある居酒屋を舞台に、五代目店主の主人公、
食材を収める業者な幼馴染、元カノと、美少年か
と思っていたら実は”美女”・・・”佐野タカシ”先
生の表題作・第一話～第八話までが収められた一
巻目。
印象的な収録作品は、店の切り盛りに追われ、人
手が欲しい主人公の元へ、雇ってほしいとあらわ
れたのは・・・な「第一話　うさぎ屋の若旦那」。
読んでいて印象的だったのは、頼ってくる人を放
っておけない、主人公の姿。居酒屋の店主向きな
性格な彼が、作品全体を強力に引っ張っている感
想を持ちました。”男前”な主人公ががんばる一冊。

生来の、性格の悪さを隠す為、”演じている”女子へ、
”スキスキ・大好き”と迫る女子・・・そんなふたり
の関係性を描いた”今村陽子”先生、#13とおまけの
描き下ろし二本を含んだ、表題作・全十四話を収め
た作品集。
印象的な収録作品は、慈悲のない言葉で罵倒しても
却って(かえって)相手を喜ばせてしまうので、不思
議な感情が芽生えてきて・・・な「#2」。
読んでいて感じたのは、表面的に同調する事で一時
的な一体感を得られれば良い、という考え方と、本
質をさらけ出し、恒久的なつながりを構築しようと
する考え方の対比。ふたりが同じ時間を共有してゆ
く中で、互いを尊重し、育まれてゆく”情”を丁寧に、
繊細に描いていると思いました。巧みさが光る一冊。

”楠見らんま”先生の実体験”?”が加味された、表題作
Teach.1~21までが収められた作品集。
印象的な収録作品は、卒業して十年、バッタリ出会
った同級生の二人。大学講師でマンションに暮らし
ているあなたにくらべ、初連載の話が雑誌休刊で消
え、無職になった私・・・な「Taech.2 お宅訪問」。
”縁は異なもの～”的、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、互いに相手の実像を
理解して、支え合う関係へとゆっくりと発展してゆ
く”ながれ”。マンガ家として執筆できる場所を懸命
に確保しようとする姿を見て、応援しあうふたりが
印象的でした。そんな”二人の関係性”を描いた一冊。

”スーツアクター”という仕事へ、一途に打ち込むヒロ
インが記憶に残る”宗我部としのり”先生の表題作・全
六話と短篇一本が収められた作品集。
印象的な収録作品は、養成所を出たばかりのヒロイン。
なのに、地方巡業の小規模なショーながら、役を与え
られ、ひたむきに頑張る彼女には、あこがれている人
物がいて・・・な「第一話」。
読んでいて印象的だったのは、肉体労働的で人間味あ
ふれる舞台裏。特撮ヒーローの華やかさとはかけ離れ
た人間関係が、丁寧に描かれていました。
表と裏、光と影、などの言葉が浮かんでくる一冊です。

”御影石材”先生自身の好みなのか、オーソドック
スなセーラー服を丁寧に描いているのが印象的な
表題作・第1話～第8話までが収められた作品集。
印象的な収録作品は、転校初日の自己紹介で、緊
張のあまり”やらかして”しまい、クラスで浮いて
いる”ぼっち”のヒロイン。”あるモノ”を身に着け
てと願う、他の生徒から”白雪姫”と呼ばれている
同級生が・・・な「第1話 転校生と黒タイツ」。
”表”の顔と”裏”の顔が極端に異なる、その同級生
に”感化”されてゆくヒロインを描いた、お話でし
た。
読んでいて印象的だったのは、ヒロインに”それ”
を身に着けさせる為、画策している同級生と、抵
抗を試みるヒロインの”姿”。その事で二人の間に、
不思議な友情が育まれてゆく、構成が見事でした。
登場人物の個性の強さが、読んでいて楽しい一冊。

主人公の往く(ゆく)先々でバイトに励むヒロインと、
甘味に対する豊富な知識を持つ教師な主人公の、美
味しそうに食す表情が記憶に残る、”やんむら”先生
の表題作・Sweets.01~11を収録した作品集。
印象的な収録作品は、お昼休みの校内。同じ学校の
教員な主人公へ”ミスド”の差し入れをするヒロイン
ですが・・・・な「Sweets.02 ミスドを食らう」。
ドーナツの前には”ランチ”も”デザート”も関係無い、
と言い切る主人公が、ある意味すごい、作品でした。
読んでいて印象的だったのは、美味しそうに食して
いる登場人物の”姿”。それと、登場する”甘味”の詳
細な解説も丁寧に施されていて、読んでいて触発さ
れてしまい、食べたくなる、インパクト抜群の一冊。

なぜか、書店売り成年誌の編集部に配属された、
少し天然なヒロインを描いた”ひらふみ”先生の
表題作・Banned01から12までが収められた作
品集。
印象的な収録作品は、ヘビーな描写で名をはせ
る、男性作家の担当になったヒロイン。先生と
打ち合わせ中、天然な発言をするので・・・な
Banned10。ヒロインの発言に慌てる(あわてる)
男性作家が愉快な作品でした。
読んでいて印象的だったのは、希望していた配
属先ではなかったものの、その所属先で、ひた
むきに仕事と格闘するヒロインの”姿”。担当し
ている先生や上司からの”言葉”が理解できずに
”?”な表情を見せたりしますが、次第に受け入れ
られてゆくヒロインを、丁寧に描いていました。