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2018年04月16日
たいへん廉価ですが体裁や筆力は市販の書籍と遜色なく、
図示もわかりやすいです。プログラミング系の教本にありがちな
「考えてみましょう」といった書かせる部分もなく
ずばずば実際に著者が使用しているコードを惜しげなく掲載する気前の良さ。
ではなぜこんなにお安いのかと言うと、
JavaScriptとはなにか、SRPGとはなにか、といった基礎部分の説明を
すべて省いているためなのですね。ググればすぐ出るような前置きはありません。
つまり、ある程度の経験と知識があるプログラマさんに向けての本でして、
そう思うとご同業に惜しげもなく秘伝のタレを廉価提供する度量は、やはり豪胆です。
2018年04月13日
超OK――それはサークルさんの名前であり、
そのサークルさんのゲームそのものを言うのです。
普通のゲームならば各種確認でハイorイイエをやるところを
このサークルさんは「超OKかどうか」でたずねてきます。
そりゃお前・・・とりあえず超OKだろ、超OKって言ってみてえし・・・
と選んでみれば実際なんだか楽しくなる。
Unity製でwin,mac両対応なのも超OKですね。
さて、”「音ゲー」×「格ゲー」、奇跡の合体”な本作は
正確を期すならば実態はリズムゲーです。一曲通じてリズムに乗って目押しを行い、
その評価の高低が、対戦の勝ち負けとして表れます。
格ゲー的にすぐ勝負が終わることもないし、音ゲー的に不慣れで完走できないこともない。
目押しのボタンにも種類はありますがゲーム的な意味は同じ。
見えて聞こえる音ゲー的演出がちょっと違うぐらいです。
とりあえずBGM一曲ぶん好きなようにシャンシャンやるんだよ!という作品なのですね。
そしてそれがいいのです。
他ユーザーとの優劣とか、プレイ評価とかハイスコアとかにとらわれず、
ただ起動してボタンを押していたらなんだかとっても楽しくなる。
無心にシャンシャンしていられる。
そんなゲームって、超OKだろ!?
2018年04月10日
RPG制作指南と考えると章立てそのものは非常に基本的で、軽い読み物の体裁です。
かくあるべし、といった強い断定もありません。その実、この軽さユルさこそが本作の妙味です。
RPG制作に限らず、ものづくり全般において作者というのは
「行き当たりばったりで突き進む実践派」と「構想や設計を万全にしてから動き出す理論派」の
おおまか2タイプに分類されるように思います。
一見、理論派の方がうまく行きそうですが、ゲームでは大作志向の長期化からの頓挫を味わうことが多く、
案外と実践派のほうが完走すなわち作品の完成率は高かったりするものです。
それはなぜかといえば、ゲームは文章絵画音楽その他の入り混じる総合芸術であり、
事前の勘案など詮無き机上の空論。絶対に想定外の出来事が頻発するからです。
さてでは理論派の諸氏はどうするかという時、よすがとなるのが本作。
フリゲ作者として実績ある筆者が、実際に作品を作り出す際に
エクセルなど駆使して”きっちり”と事前の構想をする一方で、しかし全体的にはおおらかな”ユルさ”が漂わせます。
結局はやってみないとわからないんだから、ほどほどのところでふんわり作り出すのがよいのです。
だからユルくていいんだぜ、と言ってくれているような、風変わりな勇気のくれ方をする読み物です。
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2018年04月10日
魔女の薬屋を営む少女がイタズラふっかけてきた老魔女にガツンと言いに行く!
まっすぐド真ん中な導入ですばやくプレイが可能になったら、ダンジョン探索ボタンを押しましょう。
主人公が勝手にダンジョンを進み、素材を集めてポイントを稼ぎ続けます。
この溜まったポイントで魔法薬(いわばパッシブスキル)を開発するところ”だけ”です。プレイヤーがやることは。
魔法薬によってポイントの獲得量が増えたり、戦闘に強くなったり、ダンジョン踏破が速くなったりで、
気が付くと秒間でとんでもない量の数値がピコピコSEと共に小気味よく回転し続けます。
この感じ・・・クッ○ークリッカーだ!
ダンジョン攻略が目的ですから、インフレにも終わりはあるものの、
通常クリア後は全100フロアのダンジョンをいかに速く攻略するか、という挑戦もあり、
「インフレの快感」「タイムアタックのひりつき」の二段構えが底なしの迷宮のごとく我々を幻惑するでしょう。
ウディタ製のようですが、ウディタっぽさのまったくなハイレベルな独自システム、
マウス操作やオンラインアップデート、ヘルプのバルーン...
また、魔法薬の開発・強化が1回ぶんでもきちんと実感できる変化量があったり、
細々と面倒をすっとばしてくれる至れり尽くせりがプレイの没入感をさらに深めてくれます。
2017年07月26日
主人公たちの魅力、そして彼ら彼女らが直面する事態の全容がわかると同時、
本作は終わってしまいます。「なんてことだ!」との歯噛みは夢中になっていたからで、
どうやら中途版ではありますが、一応の「区切り」はついていると言えるでしょう。
自称は「観光ファンタジー」ですが、徐々に旅の道連れやバトル描写が増え、
ギャルゲであり剣客モノであり、要するにちょっとした伝奇小説ほどのコンセプト。
一見して和風・中華風な世界観も、実は魔法アリ巨人アリ精霊アリと独特の無国籍感で
散らばりそうな諸要素をすっきり軽妙なテキストで読ませてくれます。
プレイ時間は3時間ほど、製作ツールは月姫やひぐらしと同じNscripter。
読むだけノベルながら、実際に地図を見て動いているようなクリッカブルマップ、
旅道具になぞらえたコンフィグ項目といった細かな工夫にぐいぐい没頭していくことでしょう。
ちょっとした場所や人物にも絵を当てるため、途中からは3Dモデル頼りへ
切り替わりますが些末事。その理由は主人公の扱うへびへび流という剣術にあって、
「使えるものは何でも使う、汚い技とそしられがちな剣術だからこそ、地味に強い」
というのが彼の技であり、本作そのものの強みでもあるわけです。
地味な強さの底力、まずは体験版からご覧ください。
2017年07月22日
キャッチーさのために尖った商品名とはなっていますが、
その実態は本番主義であり、つまり描き続けるにあたって
常に自ら考え、人とかかわりフィードバックを確かめることを是とするものです。
論文調を自称する通り「理論の提唱」ですから、
直接ああしろこうしろとの押しつけはありません。
画力、才能やヤル気といったモヤモヤしたものが
実は体力や見る力、体の動かし方の熟練度あるいは財力とさまざまな
パラメーターで成り立つものと考えるところからスタートし、
「下手である」「評価されない」といった各種の悩める状態が
どいったパラメーターの不足から生じているのかを
わかりやすい図示で分類していきます。
ここまで来れば自分がどこに当てはまるかを確かめ、
弱いパラメーターを鍛えるゾと意気込んで本番、つまりはネット公開や
同人活動その他へ挑み、挑んで挑み続ければよい・・・というわけです。
理論派マッチョイズムへの誘い、といったところでしょう。