ユーリンゲンさんのレビュー一覧

すっかり女の子の体に慣れ、みはりから社会復帰の一環として中学校に通うように手配されたお兄ちゃん。
「もう一度中学生をやることになるなんて･･･」という文体がすでに面白のに、「女子として」という一節がいっそう
作劇の面白さに磨きをかけてる気がします。
同じクラスで改めて、もみじ・あさひ・みよの3人と友達になり、定番のｷｬｯｷｬｳﾌﾌムードで進行するかと思いきや、
意外と女子クラスターとの温度差が表現されてるところが話作りでも一枚上手。

加えて、男子とも得意のゲーム話をしようとしたら、容赦ないジェネレーションギャップを突きつけられてしまったり
自称"見る専"のみよちゃんと話しても、自分の百合観が古いことに気付かされるなど主人公の側面の掘り下げもぬかりない。
3巻から登場人物が(学校モブも含めて)増えてきますが、誰一人として空気にならない配分具合はさすがです。

女子クラスターの中で男の自分が微妙に肩身の狭い思いをしたり、妹・みはりの心遣いに温かくなったり、
現代的な男女観も上手に掬ってる印象で、テンプレな所謂"美少女動物園"に終始しない絶妙な塩味が、読んで"美味しい"です。

ツイッターでちょくちょく拝見していた漫画です。今さらながら商業連載していたとは知りませんでした(汗
基本的に主人公とヒロイン先輩との職場ラブコメなんですが、完全に主人公視点に固定されてるわけではなく、
話によっては主人公以外の人物にも主観視点が移る作風なんですよね。
社会人のオフィス物だから、立場や関係の違いのアイデンティティによる個がハッキリしているからこそできる見せ方かなと。
仕事のギスギス感もなく、いやー、いい職場じゃないですか。

父子家庭で育った中性的な少年であるなおが、ある日突然異世界からやって来たというへんた･･･見た目麗しい女性騎士に、
婚約を迫られるというスラップスティックテイストなラブコメ漫画です。
いわゆる最近の守られ系男子の系譜に当たると思いますが、登場するヒロインのみなさんが割りと力づくで攻めてくる
脳筋系なので、エロさの分析の前にと言いますか、"圧"がすごいのでその辺のギャグも楽しめると思います。

ごく普通の男子高校生である主人公が謎(?)の陰謀に巻き込まれて、サキュバスしかいない女子校に転校するお話です。
基本的に男性受けラッキースケベな流れでお話が展開していくのですが、主人公がサキュバスを避ける所がミソ。
一応、正しい異性交遊という名目で周りの女の子からスキンシップを図られるのですが、ラッキースケベやM受けというより
弄られる過程を見るのが好きという作風が好きな人にオススメです。

2023年冬アニメの中で話題になってたので原作の方も買ってみました。
比較的ビジュアル面で気になったというか、まず色合い的には冷戦もの系統の暗く抑えた感じなのですが、
その反面デザイン面では適度に華美な装飾があり、全体的にゴシック&スタイリッシュな今風の解釈が琴線に触れましたね。
文体も普通のライトノベルと少し変わっていて、種明かしし過ぎず人物の感情に踏み込みすぎず、良い意味で読者を
騙してくるシナリオに感銘を受け、それでこそこのスパイという題材だなぁと読後に納得できました。

キャラ的にはクラウスとリリィはまだ一歩離れた視点で描写してる感じですが、途中から登場する"なの"ちゃんは
この作品の登場人物の中では比較的感情を掘り下げてる印象で、共感しやすいと思います。
要するに推しです。

ジャンプ作品ではありそうでなかった、淡い和風タッチの青春アクション漫画です。
どうしても矢吹健太朗作品だとToLOVEるの知名度が出てきがちですが、個人的には和風作品てところがツボに入りました。
忍者アクションを基軸としてバトル・学園もの・ギャグにお色気に･･･色々詰め込んだおせち料理のような彩がありますね。
ヒロインが可愛いだけではなく、祭里のお爺ちゃんの食えないキャラがジワジワ来ますw

うてなの正義の魔法少女に対する想いが功を奏した(?)のか、トレスマジアチームの小夜ちゃんにも変化が、、、
実はM気質があったのか、うてなに苛められることにだんだん快感を覚えてしまい、襟を正そうと修行に励むのですが
余計にそういうとこだぞの方向に悪化してしまってるのが笑えます。
うてなも根は腐ってないというか、こりすの壊れた人形を繕ってあげたり人間的な部分が掘り下げられています。

そんなこんなで正義と悪が膠着状態になっている時に、悪サイドに真打のヴィラン一味が登場。
なにやらうてな達と反りが合わず、造反で仲間割れフラグになっていきますます話が読めなくなってきた高揚感が良い。

悪の魔法少女として覚醒したうてなは戦いの中で「自分は何のために正義の魔法少女と戦うのか?」と逡巡し始める。
決してチート的な強さでもないので、時にはトレスマジアチーム(というか主に薫子ちゃん)に圧されることもあるのだが、
相手が強ければ強いほど、自分の中の正義のヒロインに対する憧憬があるからこそ、それを苦しめることに
サディスティックな快感を覚えることが(つまり自分の欲望に忠実になることが)彼女の戦う理由なんでしょうね。

新たにうてなサイドにキウィとこりすの2人の仲間も加わり、一層この戦いは乱痴気っぷり(笑)を増していきます。

女の子の身体になった日常がすっかり板に付いてきて、自分の部屋の外にも意識が向き始めてきたのがこの2巻。
ことの始まりは妹・みはりですが、やっぱり妹のおかげで身の回りの生活が成り立ってるのも実感できる巻です。
オタク感満載の自室に、決して交わることのないであろうJCのもみじが投入されることの化学反応が、新鮮で面白い。

家でみはりと一緒に、買ってきた少女漫画読んで赤面するシチュが笑えました。
お兄ちゃんそれ少女漫画やない、たぶんTL漫画や!!

そしてやっぱり、この巻の最大の見所である温泉旅館ではJKのかえで達と一緒に女湯に入ることになったり、
薬の効能が切れてきて久々に再会した愚息を、妹やもみじに触らせることになったり、とにかく筋書きと登場人物の
組み合わせ方によるパンチ力がすごいです。かなり腹筋に堪える内容でギャグ漫画としても非常にオススメです。

基本的にギャグ一辺倒なのですが、まひろの目線を通して本来の兄・真尋を回顧するような文脈があったり、
笑いながらもどこか切ないような不思議な印象があり、それが読者を惹き付ける筆力(パワー)にもなってるような気がします。

2023年冬シーズンから始まるアニメの中でも、一際キワモノの位置づけに当たる本作。
学校に行かず働きもしないダメニートの兄・真尋は、ある日突然優秀な妹・みはりに"一服盛られて"女の子の体になってしまう。
とにかく導入部から飛ばしていて、テンポ重視で非常にサクサク読めるのが好感触であり、どんどん読み進めていくとこの作品が
TSというキワモノジャンルであるということを、良い意味で忘れさせてくれるのが最大の醍醐味だと気付かせてくれますね。

基本的にネタ度が高い作風ではありますが、畳み掛けてくるギャグの中にも、妹・みはりが「兄を社会復帰させたい」という実直な絆による
ストーリーの縦線が通っており、決して卑しさに腐心しないコンセプトを垣間見ることができます。
ふとしたアクシデントがきっかけで、本当に身も心も"妹化"してしまいそうな振り幅があったり、シナリオのメリハリも巧み。
月経・お漏らし・サークルクラッシャー(笑)と三拍子揃った女の子の通過儀礼を経験し、"まひろお兄ちゃん"の明日はいったいどこへ向かうのか――!?