クロ僕屋さんのレビュー一覧

スーパーレディレナちゃんシリーズの2冊め。暗黒大魔神妖術大魔王(一人の肩書)が世界平和を維持しようとする女神スーパーレディレナちゃんと姉のララちゃんを倒そうと画策する。なんと武田信玄と上杉謙信を過去から呼び寄せて女神たちにぶつけようというのだ。フェイトの聖杯戦争みたいになってきたぞ……挿入される、単騎突撃した上杉謙信の太刀を武田信玄が軍配で受ける有名なシーンは迫力がある。歴史物にお詳しいのかな……先生の描く戦国ものとか見てみたい。上杉謙信が暗黒大魔神妖術大魔王に拉致される。そして暗黒大魔神妖術大魔王よりさらに上位の悪魔マリンドラゴンがまた別の作戦行動を開始する……対決は次号に持ち越しだ。古今東西のつわものと悪魔と女神がどう戦うのかき、気になる……!

　ヨーロッパ、エジプトそしてバイキングの時代、いろんな時空を暴れまわった1巻とはまた舞台が変わり今回は香奈玉県という架空の昭和の日本の農村がメインの舞台だ。桜乱れ咲く農村の景色が、西洋的画法が導入される以前の日本の浮世絵のようで美しい。農村を背景に「おぼろ月夜」「鯉のぼり」などの童謡が詠われる場面は抒情的でとてもよい。そしてストーリーとほぼ無関係に挿入されるムチムチレディたちの唐突なパンチラサービスシーンももちろんふんだんにあるぞ!　人間の善性を完全に肯定してくれるレナちゃんのママのキャラがいい。

前々から即売会などでも気になっていたのですが……まず本自体のインパクトが強烈。ムッチムチボンデージやサンバカーニバル衣装のスーパーレディが勢揃いのカラー表紙に目を留めずにいられない。

　とにかくムチムチボディスーパーモデル体型のスーパーレディが描きたいという執念に満ちている。なぜ女神がサンバカーニバル?　好きだからだよ!

　ストーリーの方は時間や空間を自在に飛び越えることができる女神(サンバ)が現代日本やバイキングの時代、西部劇の時代など古今東西から選ばれし仲間(もちろんムチムチレディ)を集め悪と戦う、というもの。むしろそんなことよりムチムチボディがハイキックでマッチョ男をなぎ倒すバトルシーンでお腹いっぱいです。肉体が躍るシーンの構図はコマも大きく取られていてダイナミック。随所でセクシーポーズ!　尻アップ!　不必要なパンチラ!　……なんなんだこの熱さは!

　そしてこれは第一部に過ぎないのです。

ストーリーはいきなりユカちゃんのシャワーシーンから始まりだ。超文明を持った宇宙人のタイムパトロール団が、はるか遠い地球の腐敗と環境悪化に心を痛めている。その背景には、あるときにはクレオパトラ、あるときには楊貴妃になって地球の権力者を手玉に取る悪の宇宙人リサリン(当然ビキニのムチムチレディ)の影があった。地球の平和を守るため、いままさに時を超えてコロンブスを操ろうとしている魔女リサリンを逮捕するのだ!　こうしいてタイムパトロール隊はタイムマシンに乗って大航海時代の地球に旅立った。

　このタイムパトロール隊にド派手なビキニのムチムチレディが3人いる。巨大化能力を持つマリイがコロンブスの遠洋航海船サンタマリア号よりでかい巨女に変身し、リサリンが召喚した巨大怪獣や、これまた巨大化したリサリンと対決するところはド迫力である。手刀で戦列艦ほどもあろうかという巨大魚の首をズバンと刎ねるマリイ!　四つ腕一つ目の巨大サイクロプスと殴り合い顔面をチョップでゴバァと叩き割るマリイ!　こ、怖い……巨大マリイと巨大リサリンとの巨女キャットファイトで津波が発生!　サンタマリア号危うし!　津波を尻バリヤーで防ぐエミリ!　M字開脚に女豹のポーズに緊縛!　その筋のシチュエーション好きにはたまらない腹にずしりと来る食べごたえだ……

　スギ隊員のキャラがいい。隙あらば女性隊員の尻をさわろうとするダメな三枚目で、戦いにおいてはあまり活躍がないが、キャップからの「地球人類を救うのだ」という命令に対し、自業自得だ勝手に滅びたらいいんですよと返すようなキャラクターである。読者が一番親しみやすいキャラクターになっている。リーダーがヒーロー然とした英雄型なのに対し脇にこういう人間臭いキャラを持ってくるところに作者のセンスが見て取れる。

各方面で密かな話題になっているらしい木持アート出版さまの格闘アクションまんが。スーパーレディレナちゃんではムッチムチのスーパーレディ達が主人公だったが今回は少年格闘漫画タイプの筋肉質青年が主人公だ。

　のっけから激しいアクションシーンの連続。主人公の格闘技に合わせたダイナミックな構図とコマ割りは熱い。とくに12頁から13頁にかけて拳法の連打技からバックドロップでとどめを刺すシーン、主人公が敵を高々と持ち上げて空が映るアオリ視点のストップモーションのコマが入ることにより決め技感が出ている。

　組手の相手が普通に銃とかヘリコプター使ってくるところで「あれ?　これって199X年地球は核の炎に包まれた世界じゃなかったんだっけ?」と一瞬思ってしまった。あと中国の山の中で突然現れたワニ(師匠が用意したんだとは思うが)に対し、拾った銃を撃つのかな……と思わせて銃で殴る!　太陽の騎士は邪悪な武器商人が創りだした兵器など使わないのだ!　そう、主人公は太陽神一族(一族とは言うが血は繋がっていない)の太陽の騎士だったのだ。太陽の一族は、軍需産業を興し世界を裏から操っている悪の暗黒神一族と戦う運命にある。

　太陽の一族ということを隠して教師として市民生活をする主人公。「あ～僕ぁウドの大木だ!　あ～子供達にバカにされなければいいが!」この台詞がやたらキマってる。学校では頼りない男を演ずる主人公のキャラがいい。ん?　こういうキャラどこかで見たことが……いや気のせいだな……

　全編を満たすみなぎる熱さ。まんがが描きたい。でもどうやって描いたらいいかわからない……そんなこと言ってる暇があったら描くべし。そして太陽の騎士を読むべし。まんがには情熱が一番重要だということを思い出させてくれる一冊。

県立若葉高等学校の柔道部のエース、姿くんのクラスに、柔道部の合宿先の民宿で知り合った女子生徒、奈々が転入してくる。奈々は家庭に問題を抱えていた。父が亡くなり、母は新しい男性と結婚したのだが奈々と弟健一は新しい父に嫌われる。母も新しい夫の味方をするので姉弟は家を飛び出て安アパートを借り、姿くんの学校に転入してきたのだ。しかし奈々の弟は体が弱く、家賃は奈々が一人でバイトで稼がなければならない……ハードな展開だ。

　一方で土が丘高校柔道部の超高校級の主将、影城勇也が砂浜で特訓をしていた。姿くんより体格で勝る影城には必殺技「回転落とし」があった。部員を回転落としで海に叩き落とすと失神!　クッションのある場所に落としてなおすさまじい威力!　回転落としとは一体!?　全国を狙う以上、姿くんは影城と戦う運命にある……

　「俺し～らないっと」とトラブルをとぼけてみたりビーチで女のケツを触ったりする、不まじめだが実は情に厚く教育に情熱のある担任教師にして柔道部顧問のキャラがいい。基本的にへらへら笑っているが「うんうん　みんな友達思いの良い生徒だ　わしにはもったいないくらいだ……」と思う時はたいへん男前に描かれる。渋い。

　試合のシーンは迫力がある。姿くんが影城を背負投しようとしたところを、体格に勝る影城が後ろから抱え上げようとしたところを、姿くんが影城の足に自分の足を絡めてバランスを崩させ技を外す、などの動きを読み取ることができる。影城の必殺技「回転落とし」の演出が良い。相手ごと空中高く飛び上がった後、黒バックに残像が残るような形で影城が姿くんに迫る見開きが大変良い。

　姿くんと影城の対決の行方は?　奈々の弟の病気は?　奈々の母は?　その先のストーリーはぜひその目で確かめて欲しい。たしかに一見してとっつきにくい印象はあるが、根底にはアツいストーリーが流れている。